Abstract orange particles of optical fiber 3d illustration

テクノロジーの真価と代償が問われるとき:ITリーダーの新たな優先課題

この1年のAI、量子技術、サイバーリスク、インフラの制約から見えてきた、企業経営の次なる時代 

この1年で、企業のテクノロジーリスクはよりシステム全体に及ぶものとなり、より物理的な影響を伴い、政策や経済と一層密接に結びつくようになりました。 

テクノロジー戦略はもはや資本戦略、地政学戦略、人材戦略、サステナビリティ戦略、オペレーショナルレジリエンスと切り離して考えることはできません。 

キンドリルのストラテジー グローバル責任者であるクリス・ラブジョイ(Kris Lovejoy)は、今後12カ月は、まったく新しいテクノロジーを発見するというよりも、すでに導入されたテクノロジーがもたらす影響に対応する期間になると述べています。この新たな時代において、企業はテクノロジー変革で最も難しいのは「発明」ではなく「統制」であることに気づくでしょう。 

主なポイント

AIは「試行・検証」から「経済規律」へ

生成AIの試行・検証段階は終わりを迎えつつあり、AIは今や継続的に発生する運用コストとなり、依存度も高まり、場合によっては予算変動の要因にもなっています。エージェンティックAIによって「消費」の性質も変わります。1回のビジネス上のやり取りに見えても、ユーザーのリクエストをきっかけに、その背後では、何十回、何百回ものモデル処理が実行されているのです。さらに、トークンの消費に加え、「オープンウェイトモデル」をめぐる議論によって、AIの利用をすべて「従量課金制」サービスで行う必要があるのかという新たな問いも生まれています。

企業内にガバナンスの及ばないAI資産群が生まれる

シャドーITとは異なり、AIエージェントは企業環境の中で実際にアクションを実行する「主体」であり、データを取得し、取引を開始し、コードを生成するなど、さまざまな処理を実行できます。しかし、キンドリルの最近の調査によると、「自社環境で運用するすべてのAIを一元的に登録し、監視している」と回答した経営層は、わずか27%でした。「どんなエージェントが存在するのか」、「誰が責任を持っているのか」、「どのデータにアクセスできるのか」などを把握できなければ、企業はガバナンスに関する基本的かつ重要な問いに答えることが難しくなります。

デジタル成長は物理的資源の制約を受ける

電力、水、地域社会からの理解と支持など、物理的な制約がAI導入を妨げる要因になりつつあります。これにより、企業のテクノロジー調達も変わります。企業のバイヤーは今後、かつては事業者や環境担当部門、地方自治体が扱っていたような問いを、クラウドやAIプロバイダーに投げかけるようになるでしょう。

量子技術はコンピューティング上の利点をもたらす前に、ガバナンス上の課題となる

量子技術が短期的にもたらす影響は、まずガバナンスの領域に現れます。企業は、暗号技術に関する前提が変化し、最適化技術が進歩し、さらには業界特有の量子コンピューティング活用事例が研究段階から実際の業務プロセスへの導入段階へと移行していく未来に備える必要があります。劇的なブレークスルーを待ってから対応を始めると、企業は十分な準備ができず、先行者利益を得る機会を逃す可能性があります。 

本記事は、2026年9月2日(米国現地時間)にキンドリルが発表した記事の抄訳です。本記事の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先されます。原文は下記URLをご覧ください。 

https://www.kyndryl.com/us/en/insights/articles/2026/09/enterprise-it-strategy-priorities