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サイバーセキュリティ人材育成を通じて、社会と若者をつなぐキンドリル財団の成果と可能性

サイバーセキュリティ人材は世界的に不足しており、日本では約11万人が不足しているとの調査もあります*。キンドリルは、2024年から若者の教育や就労支援に取り組むNPOと連携し、キンドリル財団を通じてサイバーセキュリティ人材の育成を進めています。経済的・社会的背景により、ITやサイバーセキュリティ分野へのアクセスやキャリアを知る機会が限られている若者がいる一方で、人材育成は喫緊の社会課題となっています。そこでキンドリル財団は、NPOの知見と企業の技術・人材を掛け合わせ、この分野における学びと就労の機会を広げることを支援しています。

本年2月にキンドリルジャパンが日本市場の動向に焦点を当てて発表した「日本版キンドリル・レディネス・レポート2025」では、サイバー攻撃は、⽇本のリーダーにとって、外部のビジネスリスクに関連する最⼤の懸念事項である一方で、備えが⼗分だと答えたリーダーはわずか24%であり、サイバーセキュリティ人材の育成が急務であることが調査でも示されています。 
https://www.kyndryl.com/jp/ja/about-us/news/2026/02/kyndryl-readiness-report-japan

キンドリル財団は、2023年9月、非営利団体を支援するために設立されました。初年度には世界7カ国11団体に助成をしており、2025年には11カ国12団体へと支援が拡大しています。日本では認定NPO法人育て上げネット(以下、育て上げネット)の「Youth Drive for Cybersecurity」と、認定NPO法人CLACK(以下、CLACK)の「Be Pro Cybersecurity」という2団体が推進する2つのプログラムを助成し、若者向けのサイバーセキュリティ教育と就労支援を進めています。


◼️プロジェクトの概要と成果

育て上げネット:Youth Drive for Cybersecurity(2024年、2025年)
育て上げネットは、15歳から39歳の無業の若者を対象に多様な就労支援プログラム、啓発活動、キャリアガイダンス、家族支援などを通じて、若者の経済的・社会的自立を支援しています。「Youth Drive for Cybersecurity」は、働きづらさや生きづらさを抱えている若年無業者を対象としたサイバーセキュリティスキル育成と就労支援のプログラムで、2024年と2025年の2年間で、延べ1,300人が参加しました。講座終了後には参加者の就労支援のためのジョブマッチングフェアを開催し、応用編に参加した28名のうち、半数以上が次のステップに繋がっています(2024年実績)。

本プログラムに参加したYさんは、高校中退後、社会とのつながりを持てずにいましたが、高卒認定を取得し、就職に向けて資格取得に取り組む中で、IT分野へ進むことを決めました。Youth Drive for Cybersecurityの基礎から応用までを受講し、現在はIT企業に就職し、企業向けPCのキッティング業務に携わっています。

育て上げネット 社会連携マネージャー 伊野滉司様:
本プロジェクトは、就労支援の現場で長年感じてきた「若者が職業や社会を具体的にイメージできていない」という課題に、新たな選択肢を提示する取り組みでした。サイバーセキュリティという社会的ニーズの高い分野を入口に、まずは知る・触れる機会をつくることで、若者自身の可能性が広がる手応えを感じています。今後はITリテラシーの底上げから就労につながる支援までを段階的につなぎ、企業や他団体とも連携しながら、より多くの若者に学びと挑戦の機会を届けていきたいと考えています。


CLACK: Be Pro Cybersecurity(2025年)
CLACKはさまざまな困難を抱える中高生を対象にデジタル教育を提供しています。「Be Pro Cybersecurity」は、東京と大阪で経済的な理由や家庭環境により十分な教育機会を得られない高校生を対象に2日間のサイバーセキュリティ講座を実施するとともに、企業見学などを通じてキャリアの選択肢を広げる機会を提供するプログラムで、104名の高校生が参加しました。質の高い教育コンテンツにより、講座終了後のアンケートで参加者の93%が理解が深まったと回答しています。さらにその後のキンドリルのオフィスへの訪問とセキュリティ&レジリエンシーチームをはじめとするキンドリル社員との座談会を通じて、セキュリティへの興味やIT業界でのキャリア形成のイメージを広げる機会となりました。 

プログラムに参加したTさんは、「セキュリティが『難しくて遠い分野』から『身近で必要な知識』に変わり、スマホやPC、ドメインなど、普段使っている技術の裏側を理解でき、学校の情報の授業ともつながりました。さらに、修了生メンターとして参加者をサポートする立場になったことで自分の理解が深まったことを実感しています」と話しています。

CLACK パートナー連携担当 豊田周平様:
多くの高校生は、セキュリティについてニュースで聞いたことはあっても、どこか遠い話だったものが、講座の中でサイバー犯罪の事例を調べるワークなどを通じて「自分にも関係あるかもしれない」という実感に変わっていきました。高校生は日常的に長時間デジタルに触れており、最もデジタルに近い世代だからこそ、正しい知識を持つことには大きな意味があります。特に、正しい知識が本人だけでなく家族や周囲へ広がっていく点や、早期介入によりテクノロジーの適切な利用を促す効果に、大きな社会的意義を感じています。今後はオンライン等も活用し地域を越えて裾野を広げつつ、より深く学びたい層を継続的に支援する仕組みを強化し、企業との協働を通じて若者が社会と出会う機会をさらに増やしていきたいです。

キンドリルは、サイバーセキュリティを単なる防御技術として捉えるのではなく、企業の事業継続を支える経営課題として位置づけ、サイバーセキュリティ人材の育成にも積極的に取り組んでいます。キンドリルジャパンの理事でセキュリティ&レジリエンシー事業本部長の増田 博史は、「サイバー攻撃は人災でもあります。社会全体で人材を育てることで、安全なデジタル社会を実現していくことが重要です」と語っています。

 

キンドリルは、今後もNPO団体やその他のステークホルダーとの協働を通じて、若者の学びやキャリア形成につながる機会の創出に取り組んでいきます。

参考リンク: 
キンドリル財団の助成先発表のプレスリリース(2025年)
キンドリル財団、日本から認定NPO法人育て上げネットと認定NPO法人CLACKを助成先として選出 サイバーセキュリティのスキル開発を支援」  
キンドリル財団の助成先プログラム開始のプレスリリース(2024年)
キンドリル財団の助成を受け、「育て上げネット」がサイバーセキュリティトレーニングプログラムを開始
育て上げネットの Youth Drive for Cybersecurity に関する詳細はこちら「サイバーセキュリティで広がる可能性と未来
CLACKのBe Pro Cybersecurity 開始のプレスリリース「高校生向けサイバーセキュリティトレーニングプログラム「Be Pro Cybersecurity」を提供

* 出典 ISC2 Cybersecurity Workforce Study 2023

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