テクノロジーの進化に伴いさまざまなビジネス課題がありますが、多くのITプロフェッショナルは来年にも新たなビジネス課題に直面することになるでしょう。例えば、イノベーションを促進するための変化もあれば、AIの倫理をめぐる議論における変化などが挙げられます。また、サイバー脅威が複雑化する中、セキュリティリスク軽減のための取り組みも強化しなければなりません。

 

キンドリルのグローバル・プラクティス・リーダーは世界中のパートナー企業と連携し、最優先事項であるビジネス目標の達成に最適なアプローチができるよう支援しています。
ここでは、2023年以降にITの意思決定に最も影響を与えるであろう、8つの技術トレンドを明らかにします。

 

1. サイバーレジリエンスがサイバーセキュリティを抜いてセキュリティ上の最大の関心事

ガートナー社の調査によると、経営層の88%が「サイバーセキュリティを技術的なリスクというよりもビジネス上のリスク」として捉えており、2023年にはサイバーレジリエンスはCISO(最高情報セキュリティ責任者)だけの問題ではなくなることが予想されています。さらに言えば、組織のあらゆるレベルの幹部が、サイバーレジリエンスに対する議論に参加するようになるでしょう。キンドリルのグローバルにおけるセキュリティ&レジリエンシーリーダーであるKris Lovejoy氏は、「サイバーレジリエンスは単なるIT関連の議論に留まりません。企業は、物理的な災害よりもサイバーイベントに備える方が優先度が高いことを認識し、ビジネスのすべての領域を保護するべきです」と指摘します。Lovejoy氏は、2022年最も注目されたサイバー・レジリエンス・オフィサーを務めています。

「サイバーレジリエンスは単なるIT関連の議論に留まりません。企業は、物理的な災害よりもサイバーイベントに備える方が、優先度が高いことを認識し、ビジネスのすべての領域を保護するべきです。」

Kris Lovejoy

キンドリル グローバル・セキュリティ&レジリエンシー・リーダー

2. AI倫理が必須へ

信頼できるAIソリューション(信頼性、リスク、倫理、セキュリティ、透明性に関する分野)は、より主流になっていくでしょう。キンドリルのアプリケーション、データ&AIのグローバル・プラクティス・リーダーであるNicolas Sekkaki氏は、「信用リスク、引受、ダイナミックプライシング、購買意思決定に影響を与えるレコメンデーションエンジンなどについては、パーソナライズされたインサイトを対象とするソリューションが活用されていくでしょう」と述べています。

 

同様に、データ可観測性が重要になり、ビジネス向けのAIを拡張するための鍵となります。「堅牢で安全なデータ基盤とDataOpsを実装していなければ、データ利用のスケーリングと民主化は難しいでしょう」とSekkaki氏は語ります。

 

3. クラウドの活用がイノベーションを促進

新型コロナウイルスの感染拡大前にクラウドを導入していた企業は、いち早くビジネスモデルを転換し、新しい機会や収益源を活用する能力を身に付けることができたため、導入していない企業よりも優位性がありました。同様に、経済が悪化した場合にも同じことが言えるだろうと専門家は述べています。キンドリルのグローバルにおけるクラウド・プラクティス・リーダーであるHarish Grama氏は、「クラウド導入は、イノベーションへの最短経路です。クラウドにより、企業は厳しい状況下でもビジネスを持続できる柔軟性を身につけることができます。」と述べています。

「クラウド導入は、イノベーションへの最短経路となります。また、クラウドにより、企業は厳しい状況下でもビジネスを持続できる柔軟性を身につけることができます。」

Harish Grama

キンドリル グローバル・クラウド・プラクティス・リーダー

4. 分散型クラウドの採用が加速

クラウドとエッジの連携モデルの採用が加速し、多くの企業が分散型クラウドを選択するようになると、Grama氏は予想しています。

組織全体のデータを可視化し、その価値を高めるとともに、Web3の新機能を素早く実装できるようになるなど、分散型モデルには多くのメリットがあります。「分散型クラウド環境では、パブリッククラウドプロバイダーから集中管理されながら、コンプライアンスのニーズやパフォーマンス要件を満たす、もしくはエッジコンピューティングをサポートするため、ワークロードは特定のリソースロケーションと連携されます」とGrama氏は述べています。

 

5. クラウドネットワーキングが発展

ワークロードやビジネスのクラウド移行が加速するにつれ、クラウドへの接続も従来とは異なる手段で行われるようになってきています。

キンドリルのグローバルにおけるネットワーク&エッジのプラクティスリーダーであるPaul Savill氏は、「ネットワークインフラを仮想化し、それをas a serviceの形で企業に提供するサービスプロバイダーが増加しています。しかし、これらの多くは、企業への直接アクセスするための販売チャネルを持っていません。

コネクティビティとマネージドサービスを統合し、企業が複数のネットワークを管理できるようにすることが、今後ますます求められるでしょう」と言います。

 

6. インダストリー4.0に向けた5Gプライベートワイヤレス

製造、石油化学、ガス、エネルギー業界では、プライベートワイヤレスとエッジソリューションの導入によりビジネスの効率化とコスト削減を実現していますが、小売業をはじめとする他の分野では遅れをとっています。

「2023年は間違いなく、5Gプライベートワイヤレスのユースケースと検証が他の業界にも広まり、その先頭を小売業がリードするようになるでしょう。

例えば、レジなし決済、リアルタイム分析、パーソナライズされたプロモーション、資産追跡、サプライチェーンの最適化など、プライベートワイヤレスとエッジは、次世代の購買および顧客体験の向上の鍵となるはずです」とSavill氏は述べています。

 

7. ハイブリッドワーク実現に不可欠なパーソナライズされたデジタル体験

現在のデジタルワークプレイスは、従業員がどのチャネルを使うかを自由に選択できるなど、組織横断で働く環境へと変化しています。

しかしながら、多くの組織がこの新しい環境をシームレスに優れた従業員体験を提供すると同時に、コラボレーションと組織文化を向上することに課題を持っています。

キンドリルのデジタルワークプレイス担当グローバル・プラクティス・リーダーのIvan Dopplé氏は、「2023年には、デジタル体験が採用の大きなポイントになり、定着率にも影響を与えるでしょう」と述べています。

「2023年には、デジタル体験が採用の大きなポイントになり、定着率にも影響を与えるでしょう」

Ivan Dopplé

キンドリル デジタルワークプレイス担当グローバル・プラクティス・リーダー

8. ハイブリッドクラウド戦略におけるメインフレームの役割が確固たるものに

企業はハイブリッドクラウド環境への完全な統合を目指し、メインフレームのモダナイゼーションを加速させるでしょう。キンドリルのメインフレームのプラクティスリーダーであるPetra Goude氏は、「IT予算の削減やスキル不足の課題に直面している企業は、メインフレームのモダナイゼーション、ハイパースケーラとの統合、ワークロードのメインフレーム移行を通じて、プラットフォームを最大限に活用するためにエンド・ツー・エンドのアプローチを取ることになるでしょう。

また、クラウドプラットフォームを拡張する統合機能により、メインフレームのデータやアプリケーションにアクセスし、新しいビジネス要件に迅速に対応できるようになります」と述べます。