キンドリルジャパン 技術戦略部長 大津浩司氏(写真左) / キンドリルジャパン 最高技術責任者 澤橋松王氏(写真右)

IBMからITインフラ管理などを手掛ける部門が分社化し、新たに設立された「キンドリル」は、このほどNY証券取引所にも上場を果たした。新会社は今後、社会の中でどういった役割を果たしていくのか。同社が想定しているテクノロジー戦略について、技術部門を担当する最高技術責任者・澤橋松王氏と技術戦略部長・大津浩司氏に話を聞いた。

世の中のインフラを支える9万人のスタートアップ企業

――このたび新たに設立されたキンドリルについて、改めて教えてください。

澤橋:私たちキンドリルは、IBMにおいて30年以上テクノロジーサービスを担当していた部門が独立してできた企業です。ハードウェアやソフトウェアの販売よりも、サービスに重きを置いています。私たちのお客様は多くが、社会基盤をつくっているお客様です。たとえば金融、エネルギー、交通・航空関係など。そういったお客様にシステムを提供する私たちも、当然社会の基盤を下支えする存在であると自覚をしなければなりません。社会インフラとしてのITであり、ITから社会をよりよくしていく存在です。

大津:ITサービスの企業ですので、IBMの頃とお客様との関わり方は変わりません。「売って終わり」ではなく長期的に関わることで、システムの改善を重ねながら、お客様のビジネスをよりよい方向へ導いていきます。スタートアップ企業ではありながら、IBM時代からのシステム基盤や顧客基盤があり、メンバーも全世界で9万人。システムの安全・安心を守りながらも、社会を変えるチャレンジが可能な企業です。単なる製品の提供に終わらず、お客様の課題解決そのものに携われる点に強みがあると考えています。

 

ITは、働き方や社会に合わせて変化し続ける

――キンドリルとしての特徴や強みはどこにありますか? 今後の戦略についてお聞かせください。

大津:キンドリルは大きく分けて6つの技術領域があります。クラウド、メインフレーム、デジタル・ワークプレイス、アプリケーション&データAI、セキュリティ&レジリエンシー、ネットワーク&エッジです。ただ、どこかひとつだけがお客様と関わることはほとんどありません。私のいる部門は、お客様の課題を理解した上で、この6つの技術領域を横断し、ベストな解決策をご提案します。このとき我々が大切にしているのが、「共創」の姿勢です。ただ製品を売る企業と買う企業の関係に終始してしまうことはありません。一緒に事業をつくるパートナーとして入り込み、事業の未来を考えていきます。

澤橋:このようにサービスを提供する姿勢は、IBM時代からも行っていたことです。だからこそ、私たちにはIBM時代から蓄積してきたノウハウがあります。加えてグローバル企業として世界中のノウハウや事例を集めてくることもできるのです。豊富な情報を基に、ベンダーフリーの様々なサービスを組み合わせた、ベストプラクティスを生み出すことが可能です。

 

――今まさに需要のあるお客様の課題としては、どのようなトピックスが挙げられますか?

澤橋:一例を挙げるならば、「ゼロトラスト・セキュリティー」には注目が集まっています。ゼロトラスト・セキュリティーとは、「ゼロトラスト」、つまり、「全て信頼しない」という意味のセキュリティー・システムをつくることです。これまでは社内ネットワークと社外ネットワークが明確に区別され、扱う情報の重要度によってどのネットワークから情報にアクセスすべきかが各企業で定められていました。しかしクラウドやリモートワークの普及により、ネットワークに社内外の区別がなくなりつつあり、またデバイスも多様化しています。そこで社内/社外といった区別ではなく、どのような手段やネットワークにおいても安全なセキュリティを強化する考え方が必要になってきました。人々の働き方やテクノロジーが変われば、それを支えるシステムやネットワークも進化をしなければならないという一例でしょう。

大津:少子高齢化・人材不足の観点からは、IT運用の高度化も求められています。とくに自動化やAIの活用などは急務でしょう。製造業の現場などでは人材不足に対応するため、製造工程の自動化などが積極的に行われてきました。同じようにシステム運用でも、自動化を進めていかなければなりません。現状、アウトソーシングを行っているお客様はたくさんありますが、まだ人に依存している点は否めません。人材不足や業務の属人化を防ぐためにも、「人の手を介さない運用」というものを、今後さらに追求していくことが必要となるでしょう。

 

システム部門は、コスト部門からビジネス創出のエンジンへ

――キンドリルは今後、どのような未来を描いているのでしょうか?

大津:ひとつのキーワードは、やはり「共創」です。なぜなら、システム提供だけではビジネスの成長には寄与できないからです。仮に素晴らしいシステムをこちらが提供できても、お客様の社内ルールにのっとって運用しようとするとうまく使いこなせなかったり、作業が増えてしまうだけになったりします。私たちがやるべきなのは、お客様のビジネスや社内の状況に入り込み、理解すること。その上で、システムをどのように活用すべきか示さなければなりません。ときには社内の慣習や文化を根底から変えるような、大掛かりなプロジェクトになる場合もあります。しかし、「社会成長の生命線」になると目標を掲げる私たちだからこそ、単なる製品販売や作業の請負に終わらず、やるべきことなのではないでしょうか。これまで企業の中でIT部門と言えば、どちらかというとコスト部門でした。しかしそこから一歩踏み出し、業務を効率化しビジネス創出を生むエンジンになってほしい。そしてシステムやデータを基軸にビジネスを生み出し、成長、発展させ、利益を生む部門になっていってほしいのです。

澤橋:お客様ごとにやってきた運営スタイルをそのままアウトソースするような仕事もしていますが、それだけでは変革は創出できないと感じています。私たちとしてはそれをサービスとしてパッケージ化し、組み合わせて使っていただけるようにすることも考えています。職人が現地で家を建てていたのを、今度は工場で部品を作って現地に組み立てるだけにするような仕組みを、ITの世界でも考え、そういう形に変えていきたいと思っています。

またサステナブルなビジネスを進めることも大きな社会課題となっています。我々としては、例えばグリーン・エネルギーを使っているデータセンター事業者と連携するといった方法で、キンドリルのデータセンターを使っていただけるお客様がサステナビリティーにつながる事業を進めるお手伝いもできると考えています。

 

自分たちの手で、会社も社会もつくる醍醐味を

――これからキンドリルでともに働く仲間へ向けて、メッセージをお願いします。

大津:これからキンドリルの仲間になってくれる人材には、スタートアップ企業としてチャレンジできるキンドリルの環境に期待をしていただきたいです。グローバルなノウハウはしっかりとあり、一方で幅広い技術に触れることができる会社です。

澤橋:キンドリルは技術者が主役の企業です。また「これから自分たちの会社を自分たちの手でつくっていく」と一人ひとりがリーダーシップを発揮している雰囲気もあります。

私たちキンドリルは、社会基盤を支える一員として、変革を起こします。社会を根底から変えていく醍醐味を、一緒に味わっていきましょう。

 

#1 上坂貴志社長インタビュー

#3 人事、マーケティング役員インタビュー

 

プロフィール

キンドリルジャパン 執行役員 最高技術責任者 澤橋 松王

日本IBMにてシステム開発・運用チーム体制の革新をリード。2019年、IBM技術理事就任。インフラストラクチャー・サービス部門にて、オファリング開発とアーキテクト部隊を統括。21年9月から現職。

 

プロフィール

キンドリルジャパン 技術戦略部長 大津 浩司

日本IBMにてシステム開発・運用プロジェクトをリード。2017年から、インフラストラクチャー・サービス部門にて、クラウド、コンテナ、SREなど、技術革新の展開をリード。21年9月から現職。

 

※2021年12月20日~2022年1月19日に日経電子版広告特集にて掲載。掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます。

 

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