参加者:ベルント・シェーファー、ダン・マルティーノ、ショーン・ドゥスーザ
現実の体験を遠くからの観察で置き換えることはできません。真実の中には、現場でしか発見されないものもあります。
ビジネスアプリケーションのランドスケープがどのように進化しているかをより深く理解するために、キンドリルのアプリケーション、データ&AIプラクティスの3人の専門家に、さまざまな業界を超えて企業とパートナーシップを組み、未来に備えたアプリケーションエコシステムを設計、構築、管理する中で得た教訓を共有してもらいました。
これらの洞察を活用し、現在と将来において競争に打ち勝つためのアプリケーション戦略を構築する基盤としてご利用ください。
現在、アプリケーションセクターを形作っている力は何でしょうか、そしてそれらの力は今後、市場にどのような影響を与えるのでしょうか?
シェーファー:エージェンティックAI。このテクノロジーは成長を続けていて、今後数年間、このランドスケープを支配し続けるでしょう。チームは、アプリケーションとこれらのアプリケーションがサポートするビジネスプロセスを作成、カスタマイズ、最新化するためにこのAIを使用するでしょう。
マルティーノ:AIは、もはや単なる流行語ではありません。メーカーはテクノロジーをERP、CRM、その他のコアプラットフォームに直接組み込んでいます。エージェンティックAIは、ワークフローの自動化、自律的な意思決定、そしてビジネスプロセスのための会話型インターフェースの提供によって、一段と進化するでしょう。基本的に、アプリはあなたの代わりに「考える」ことを始めます。高度な分析、クラウドネイティブアーキテクチャ、ハイパーオートメーション、ローコードやノーコードのプラットフォームも、アプリケーション分野で大きな力となっています。
アプリの進化が利用体験重視へと向かう中で、より直感的で柔軟、かつ使いやすいものにするために、企業はどのように戦略を見直すべきでしょうか?
マルティーノ:昔ながらの一枚岩のアーキテクチャーではダメです。今後は、システム全体に影響を与えずに機能を追加できる、モジュール型の構成が主流になります。マイクロフロントエンドやアトミックサービスによって、これが可能になります。イベント駆動型アーキテクチャーを組み合わせることで、アプリがリアルタイムで反応し始め、コンテキストに対応し、適応性があり、パーソナライズされます。
シェーファー:従来の意味での体験がどうなるのかよくわかりませんが、私が予見する体験の変化はビジネスユーザーとアプリケーション間でもっと反復的で次のステップが必ずしも確定的ではない、やり取りになっていくと思います。例えば、従来のように仕様書を作成して開発者に渡すのではなく、利用者がアプリと対話しながら目的の結果を得る形になるかもしれません。
「昔ながらの一枚岩アーキテクチャーではダメです。未来は、システム全体を壊すことなく、新しい機能を追加できる、モジュール式で構成可能なアーキテクチャーにかかっています。」
ダン・マルティーノ
シニアバイスプレジデント
アプリケーション、データ&AI
将来にも有効なアプリケーション戦略のためにCIOに何かアドバイスはありますか?
シェーファー:プラットフォームがオープンアーキテクチャを上回ることはこれまで一度も見たことがありませんし、今後もそれは変わらないと思います。つまり、どのプラットフォームが最適かにこだわるよりも、オープンでインテリジェントなアーキテクチャに焦点を当てることをお勧めします。それは、俊敏性と柔軟性がこれまで以上に重要になっているからです。また、エージェンティックAIの道すじには、利用者と歩みを合わせ、業務遂行に必要なアプリを整備し提供を行う計画を立てることが重要です。
マルティーノ:テクノロジー優先よりもビジネスを優先することを考えてください。ITを成長エンジンとして位置づけてください。すべてのテクノロジーのイニシアチブは、収益の向上、コストの削減、効率性の改善、またはお客様の満足度の向上など、明確なビジネス成果に結びつける必要があります。また、AIをその過大なまでの注目を受け流して拡張し、あらゆる箇所にセキュリティとガバナンスを組み込むことも必要です。自由に組み立てられるようにし、データ駆動型にしてください。人材に投資してください。体験にこだわってください。
AI対応アプリとAIネイティブアプリはどのように異なり、最終的にどのような業務上の影響があるのでしょうか?
ドゥスーザ:AI対応アプリケーションでは、パフォーマンスを向上させるために既存の機能にAI機能が追加されますが、アーキテクチャーは根本的に変わることはありません。AIネイティブアプリケーションは、AIをコアコンポーネントとしてゼロから構築されています。アプリケーションのコアロジックは、固定されたルールベースのプログラミングに依存するのではなく、AIモデルを通じて展開されます。このケイパビリティにより、AIネイティブアプリは複雑なリアルタイムの意思決定を行い、継続的に学習し、進化できます。知能はシステムのあらゆる部分に埋め込まれています。そのため、よりスマートで、より速く、より適応性の高いパフォーマンスが可能になります。
コア製品としての機能が体験に置き換わるとアプリのアーキテクチャーは、どうなるでしょうか?
マルティーノ:体験が中心となると、アーキテクチャーは厳格な機能性ではなく、柔軟で体験を第一とするエコシステムのように機能し始めます。ヘッドレスアーキテクチャーとマイクロフロントエンドにより、一貫したオムニチャネル体験を提供でき、ユーザーインターフェース(UI)コンポーネントを微調整できます。APIは円滑な統合のための接着剤となり、イベント駆動型のアーキテクチャーによりアプリはリアルタイムでユーザーのアクションとコンテキストに対応できます。すべては反応性と適応力にかかっています。
「AIネイティブアプリは複雑でリアルタイムの意思決定を行い、継続的に学習し進化します。知能はシステムのあらゆる部分に埋め込まれています。そのため、よりスマートで、より速く、より適応性の高いパフォーマンスが可能になります。」
ショーン・ドゥスーザ
シニアバイスプレジデント
Kyndryl Consult
アプリ開発におけるAIエージェントの使用が増加するにつれて、チームの役割とスキルをどのように強化する必要があるでしょうか?
シェーファー:いずれ誰もが、プロンプトやエージェンティックAIソリューションを使って、AIとスマートに対話する方法を知る必要があるでしょう。この要件はすべての役割に適用されます。現時点では、エージェンティックAIの同僚は数年の経験を持つ若手開発者のような存在です。能力主義社会の原則は依然として適用されます。AIは開発者の基準を引き上げ、おそらく今後数年間でさらに数段階引き上げられるでしょう。
AIが業務アプリに広く組み込まれる中で、CIOはどのような新たなデータ管理や統制の課題に直面するのでしょうか?
マルティーノ: AIは中立的ではありません。人間の偏見を増幅させ、法的問題を引き起こす可能性があります。絶えず変化しているプライバシー法に準拠し続けるためには、システムを継続的に監視・監査する必要があります。チームはすべてのAI駆動の意思決定に責任を持ち、重要な判断には人間を関与させるようにすべきです。拡張性のある基盤と、高速でデータを処理できる仕組みが必要です。また、AIは学習するデータの質に依存するので、サイロを排除して信頼できる唯一のデータソースを作成する必要があります。
キンドリルはお客様の特定のニーズを満たすアーキテクチャをどのように設計していますか?
シェーファー:私たちはエンタープライズマインドセットから出発し、実績のあるフレームワークと私たちの統合プラットフォーム(Kyndryl Bridge)から得られる実際の洞察の活用を用いて意思決定を行います。そして、モジュール式でスケーラブルなシステムを設計します。そのシステムでは、クラウドネイティブ環境で強化でき、ITの必要性とビジネスゴールのバランスを取ることができます。このすべてを既存の運用への中断を最小限に抑えつつ、行っています。
「エージェンティックAIは急速に広がっており、今後数年にわたり主流になるでしょう。チームは、アプリケーションとこれらのアプリケーションがサポートするビジネスプロセスを作成、カスタマイズ、最新化するためにこのAIを使用するでしょう。」
ベルント・シェーファー
シニアバイスプレジデント
アプリケーション、データ&AI
この戦略の独特な点は何でしょうか?
ドゥスーザ:私たちは、テクノロジーモダナイゼーションと同じくらい人材とプロセスに焦点を当てて、変革に総合的に取り組んでいます。ハイブリッドアーキテクチャーとキンドリルのミッションクリティカルな専門性に基づいた、私たちの設計哲学ではユーザー体験を優先しています。また、私たちの変更管理戦略は、組織がテクノロジーの進化に合わせて適応できるよう支援します。
キンドリルはお客様とどのように協力してAIジャーニーを加速させているのでしょうか?
ドゥスーザ:単に古いシステムにAIをボルト留めするのではなく、キンドリルのエージェンティックAIフレームワークを使用して、ジェネレーティブとエージェンティックAIの能力を組み込んだインテリジェントなアプリケーションを設計しています。私たちはまた、システム間でデータを統合し、AIの使用を管理するためのガードレールを設置します。これらはAIネイティブになるためのビルディングブロックです。