キンドリルジャパン株式会社 ストラテジックサービス本部 サービスイノベーションセールス事業部 事業部長 橋本寛人

データとデジタル技術の活用で顧客や従業員体験を変え、ビジネスモデルを変革する――。こうしたデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進がクローズアップされてから数年がたつが、いまだに日本企業の取り組みは遅れている。この現状を打破するために進められているのが、30年にわたってITインフラのアウトソーシングビジネスを手がけてきたキンドリル(Kyndryl)とマイクロソフトの協業強化だ。両社の協業は企業や社会にどのようなインパクトをもたらすのか。

 
・日本企業が直面する課題解消のために

「日本企業が直面している課題は大きく3つあると考えています。生産年齢人口の減少、変革し続ける企業への転換、そして企業セキュリティの強化です。マイクロソフトとの協業はこのすべての課題を解決できるものです」とキンドリルジャパン ストラテジックサービス本部 サービスイノベーションセールス事業部 事業部長の橋本寛人氏は語る。

生産年齢人口の減少に対しては、労働生産性の向上が不可欠になる。その決め手となるのがデジタルの活用だ。働く場所を従業員が自由に選択できる「Microsoft 365」を活用したデジタルワークプレイスのような仕組みによって生産性の向上が期待できる。変革し続ける企業に転換するためには、素早くシステムを立ち上げ、円滑なシステム連携を実現し、継続的にシステムを拡大できるクラウドの活用が大きな役割を果たす。マイクロソフトの「Microsoft Azure」は国内成長率No.1のクラウドとして高く評価されている(※)。

そして高度化するサイバー攻撃に対処し続けるために注目されているゼロトラストについても「Microsoft 365 / Azure Security」が提供されている。この包括的なセキュリティソリューションを活用することでゼロトラストが実現できる。「デジタルワークプレイス、クラウド、ゼロトラストと全方位にわたってソリューションを提供しているマイクロソフトとの協業を進めることで、キンドリルジャパンとしてお客様の課題解決を支援することができるのです」と橋本氏は協業の重要性を語る。
(※)Japan Public Cloud Competitive Landscape(Based on IDC’s Public Cloud Services Tracker 1H21)

 

・6つの技術領域での協業ソリューション

 キンドリルとマイクロソフトがお互いを最上位のパートナーとするグローバルにおける包括的な戦略パートナーシップを締結したのは、2021年11月のことだ。同年にIBMからスピンオフして誕生したキンドリルにとってこのパートナーシップの意義は大きい。
ITインフラを社会成長の生命線と位置付けるキンドリルでは、ITインフラを進化させるために6つの技術領域に注力している。クラウド、メインフレームシステムのモダナイゼーション、デジタルワークプレイス、データ利活用、セキュリティ&レジリエンシー、ネットワーク&エッジコンピューティングである。これらの技術領域はマイクロソフトのソリューションと相性がいい。
「マイクロソフトが提供しているクラウド、ワークプレイス、ゼロトラストといったソリューションはこれらの6つの技術領域と深く関わっており、キンドリルの持つ強みと組み合わせることでユーザー企業に大きなメリットを提供できます」と橋本氏は語る。

例えば、Microsoft Azure ADやMicrosoft 365に、端末管理を行うマネージドモビリティサービスやAI(人工知能)を活用したチャットでトラブル対応するワークプレイスサポートサービスといったキンドリルのサービスを組み合わせれば、インフラの運用をキンドリルに委託し、特別なノウハウがなくても新たな働き方に移行できる。
また、Microsoft Azure上でキンドリルがVDIシステムやSAPシステムの構築や運用、加えてデータ分析基盤を構築し運用することも可能だ。レジリエンシー・オーケストレーション・サービスによって災害時にAzure上にシステムを自動復旧させることもできる。
そして、オンプレミスとクラウドを併用するハイブリッドやマルチクラウドの環境下において、それらを統合的に運用監視したり、インフラのコンポーネント単位だけではなくサービスの視点での運用監視を可能とするAPMなどのソリューションも組み合わせた運用をキンドリルに任せられる。

・顧客目線に立ち、全体最適を実現

キンドリルの強みの一つは30年間ミッションクリティカルなシステムを運用してきた実績にある。それにマイクロソフトのソリューションが加わったことで「あらゆるニーズに柔軟に対応できるようになった」(橋本氏)と語る。
キンドリルは、コンサルタント、アーキテクト、テクニカルセールスなど、世界に9万人のITインフラ領域のプロフェッショナル人材を保有する巨大な専門家集団だ。そのうちマイクロソフト関連の資格保持者は1万人を超える。グローバルでのマイクロソフトのパートナーでトップ10に入る特殊な集団といえるだろう。
ただし、ベンダーニュートラルを実現するためにIBMからスピンオフしたキンドリルにとって、パートナーはマイクロソフトだけではない。「長年にわたるインフラ構築やアウトソーシングで培ってきた知見により、ソリューションの目利きができることも大きな強みである」と橋本氏は語る。あくまでも顧客のニーズに対して最適なソリューションを提供するというスタンスを取る。


「インフラ構築やアウトソーシングで培ってきた知見により、ソリューションの目利きができることも強みです」
そこではマイクロソフトと他社とのソリューションの組み合わせも考えられる。ユーザー企業のセキュリティポリシーに合ったゼロトラストのために他社のセキュリティソリューションで機能を補完したり、最近提携したエクイニクスのインフラとMicrosoft Azureの親和性を活用したエンドtoエンドのネットワーク接続といったことも提供していく。「お客様と歩調を合わせてあるべき全体像を描き、そのうえで最適な個々のソリューションを提案していくのがキンドリルの基本的なアプローチですが、豊富な実績とスキルを持った当社であればマイクロソフトのソリューションのポテンシャルを引き出すことができます」と橋本氏は話す。“マイクロソフト+α”が期待できるのである。

 
・パートナーシップで社会基盤を支える

「お客様からの引き合いで多いのは、ゼロトラストを筆頭に、働き方変革のためのデジタルワークプレイス、そしてデータドリブン経営のためのデータ分析基盤です。いずれもマイクロソフトのソリューションが有効な分野です」と橋本氏は語る。
今、キンドリルが見据えている近未来像は、マイクロソフトとの協業を軸にしたエコシステムの拡大だ。その一つがエクイニクスを加えた3社による協業である。この協業によってパフォーマンスやレイテンシーを最適化した強固なハイブリッド基盤を提供できる。「スピードとアジリティを兼ね備えたサステナブルな社会基盤」(橋本氏)が実現される。
キンドリルでは、ITインフラストラクチャの未来を段階的に発展していくものとして捉えている。デジタルアウトソーシングから産業別プラットフォーム、産業を超えたサービスプラットフォーム、そして社会基盤を支えるデジタル基盤へと進化していく。当然、SDGs(持続可能な開発目標)も視野に入ってくる。
SDGsのために注力しているソリューションの一つが、データセンター向けカーボンマネジメントだ。キンドリルが自社のデータセンターで培ってきたCO2排出量の「可視化」と「削減」のノウハウをソリューションとして提供するもので、カーボンニュートラルに向けたロードマップの策定から実装までを支援する。
「Kyndryl University for Microsoftで継続的にスキルアップをしながら、SDGsのような企業、国、社会が達成すべき目標に向けてもテクノロジーカンパニーとして支援していきます」と橋本氏。ITインフラを社会成長の生命線にしていくというキンドリルは、多くの課題に直面する日本企業にとって頼もしいパートナーといえるのではないだろうか。

(関連リンク)
キンドリルとマイクロソフト

 

※日経BP社の許可により、2022年7月~掲載の日経クロステックSpecialの広告から抜粋したものです。禁無断転載©日経BP社