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ハイブリッドワークプレースをモダナイズするための3つのポイント

お知らせ 2023/03/28 読み取り時間:

ハイブリッドワークの時代にビジネスおよびカルチャーを変革する企業が参照すべきキンドリル自社の取り組みの事例

Auriol Stevens, Dennis Perpetua著

人々の働き方が根本的に変わりつつあります。

パンデミックによって強いられたリモートワークにより、リモートで従事できる多くの従業員が好むワークスタイルとなったハイブリッドモデルが誕生しました。

この新しいモデルに対する期待と需要が高まるにつれ、適応しなければ取り残されるリスクがあるという新たな現実に、事業サイズや業種にかかわらずすべての企業が直面しています。

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経験から生まれる専門知識

キンドリルは、リモートとハイブリッドワークがもたらす機会と障壁の両方を身をもって経験してきました。

IBMから分社し、2021年11月にキンドリルが独立した企業として発足したとき、キンドリルの社員はすでにリモート環境での業務遂行とその構築に関して豊富な経験を持っていました。それでも、私たちは会社の立ち上げを、ワークプレースのモダナイゼーションに向けたきっかけとして利用することにしました。

2022年の春までに、デジタルファーストのビジョン推進とハイブリッド・ワークプレース・モデルの維持のために、新たなテクノロジープラットフォームへの移行を開始しています。
機敏な組織を組閣する上でこの活動は、キンドリルのビジネスのあらゆる側面に含まれるインクルーシブ、エクイティおよびサステナビリティという価値とともに中核となりました。

企業がハイブリッド環境への移行、完全なリモートモデルの採用、またはテクノロジー資産全体の再設計を検討している場合は、キンドリルの経験を活用できます。
ハイブリッド・ワークプレース・モダナイゼーション実現のため、これまでに私たちが学んだ教訓を3つのポイントにまとめています。

ポイント1. 献身的なリーダーシップ

プロジェクトの範囲と規模に応じて、企業でハイブリッドワークを実現するのにかなりの時間と労力がかかり、ほぼ確実に様々な課題が生じることでしょう。変革のあらゆる段階において、リーダーからの明確な指示、ぶれないコミットメント、そして継続的な安心感が、従業員には必要です。

ハイブリッドまたはリモートワーク実現を支援するデジタル変革に着手する前に、企業のリーダーは次のことを行う必要があります。

戦略的な優先事項の統合

経営層は全社にすべてを伝えること、また広範な事業目標に合わせたハイブリッドワークプレースへの要件をまとめることが必要となります。「何をするか」を「なぜするか」に結び付け、「どのようにするか」まで促すことで、変革に対する一貫したビジョンと具体的な理由を提供できます。この取りまとめによって、戦略を実行する担当者に明確に目標を理解してもらうことにもつながります。

キンドリルのワークプレースモダナイゼーションは、独立した企業となるための変革と合わせて進めることにしました。

デジタル変革の目標と企業としての成長を合わせると、3つの戦略的な優先事項が明らかになりました。

  • 従来のプロセスと環境を簡素化すること
  • 社員とお客様のユーザー体験を充実させること
  • セキュリティリスクとテクノロジー運用にかかる全体コストの削減

それぞれの達成目標がビジネスにおける必須事項を反映しています。そのうえでキンドリルは、共創パートナーとして、魅力ある企業として選ばれるテクノロジー・サービス・カンパニーとなる、というより大きなミッションを掲げています。

部門やロケーションを超えたコラボレーション

ワークプレース変革では、役職、部門、そしてタイムゾーンをも横断するため、リーダーは全社の利害関係者から意見やサポートを求めることが重要になります。この全社的なコラボレーションにより運用効率が向上し、ハイブリッドワーク戦略は従業員全体にメリットをもたらします。

キンドリルがワークプレースモダナイゼーションを計画した際、リーダーは実際に世界中のあらゆる部門の担当者と協力し、リモートファーストの環境を支援するポリシーと手順を確立しました。その際に次の3つのチームが重要な役割を果たしました。

  • CIOオフィス:キンドリルのCIOオフィスは、2021年11月に独立した企業として正式に発足する数か月前にワークプレース変革の計画立案を始めています。この事前の行動により、キンドリルのハイブリッド・ワークプレース・モデルを強化するソリューションパートナーを選択する前に、多数のテクノロジーベンダーを分析することができました。 さまざまな実務分野および市場のリーダーと数か月にわたって共同で分析に取り組んだ後、CIOオフィスは3段階の全社的な変更管理計画を発表しました。
  • 人事:世界各国のワークプレースおよび文化的な感受性を調査した後に、キンドリルの人事部門は、キンドリル・フレキシブル・ワークプレース・ポリシーを起草しました。このポリシーはグローバルで導入できるよう構成され、さらにローカルで調整するのに十分な柔軟性を備えています。各国特有の状況に対応するため、現在各国のリーダーはこの文書をカスタマイズし、確立されたガイドラインの範囲内で運用しています。
  • 不動産建設および施設部門:キンドリルの不動産建設およびデータセンターサービスチームは、キンドリルのオフィスと施設を管理し、すべてのロケーションにおいて社員とお客様への一貫したオンサイトの体験の提供を確立しています。この施策の1つの要素として、統合ワークプレース管理システムと、オフィス勤務を必要または希望する社員がワークスペースや会議室を一日あるいは週単位で選択して使用できる付帯アプリケーションを導入しました。

これにより、状況、場所、事業部門に関係なく、誰もがワークプレース変革に貢献することができるため、まさに理想の環境といえるでしょう。 社内でのサイロ化を打破し、個人、チーム、実務分野を超えたコラボレーションの促進により、業務を活性化し、受容を促し、大規模な変革を実現できます。

コミュニケーションと称賛

ハイブリッドワークプレース戦略を実行するとき、経営陣はその目的を絶え間なく推進し続ける必要があります。
進捗を共有し、成功を称え、透明性を保つことで、従業員同士の信頼が構築され、期待感が生み出されます。

キンドリル社内では、会長兼CEO (最高経営責任者) のMartin Schroeterが、グローバルでワークプレース変革に向けたQ&Aを行うライブストリームを開始しました。
彼はそこで、キンドリルの専属テクノロジーパートナーの詳細と、新たなツールへの移行に向けたタイムラインを共有しました。

コミュニケーションチームと経営陣は、Eメール、ビデオ、ブログ、ニュースレター記事、および毎週のイントラネット投稿を通じて、移行に関する情報を周知し始めました。
現在、社員は3つのデジタル・コラボレーション・ハブを使い、ニュース、FAQ、ベストプラクティス、アプリケーションに特化した洞察やトレーニングへのリンクを探し出すことができます。

ワークプレース変革への取り組みに絶え間なく尽力し、最新情報とガイダンスを提供し、企業全体にわたり従業員と共創することで、リーダーシップチームは会社の成長に合わせて進化する持続可能なワークプレースモデルを確立できます。

あるCIOからのアドバイス
なぜこの変革が必要か、明確に一貫性をもってメッセージする重要性を過小評価すべきではありません。 変革は経営層から始まりますが、あらゆる従業員が理解し、共感する必要があります。

Michael Bradshaw

CIO (最高情報責任者)、キンドリル

ポイント2. 適応型のカルチャー

「企業カルチャー」という言葉は不明瞭かもしれませんが、お客様の企業を定義できる価値観、信念、姿勢の集合がワークプレース変革のための強力な推進力になりえるといえます。
特に大幅な変化のある際には、明確で適応型のカルチャーはビジネスのあらゆる領域において指針を提供します。

リモートまたはハイブリッドワークを促進するカルチャー基盤を確立するには、次のことを行う必要があります。

企業自身の価値観を定義する

お客様の企業の使命とコアバリューから、ハイブリッドワークへの変革を含めた戦略的なプロジェクトを導くための理念が創り出されます。

キンドリルは2021年に独立した企業として事業を開始した後、世界中の社員から新たな会社へ期待するカルチャーについてアイデアとフィードバックを共有するため、オンラインでブレインストーミングを実施しました。

集められた内容から、私たちは6つのコアとなる原則を特定し、「The Kyndryl Way(キンドリルウェイ)」の構成要素として掲げています。
お客様との共創やお客様にとっての価値を高める方法やどのように自分自身で業務を調整する方法など、私たちの活動はすべて、これらのカルチャーによって支えられています。

カルチャーの創出を促進する

従業員の行動が直接的もしくは間接的にでも、自社の使命につながる際に、カルチャーは発展します。一方で、ハイブリッドワーク特有の物理的な分離によって、イノベーションを促進し、ビジネス変革を前進させる行動が複雑化したり、妨げられる可能性さえあります。

キンドリルが成功するかどうかは、キンドリルウェイをもとに世界中の社員を団結させられるかにかかっています。そのため私たちは日々の業務を考慮しながら、カルチャーにつながるシンボル、行動、システムの強化に向けた道筋を模索し続けています。

たとえば、「フラット」および「ファスト」という価値の実現のために、アカウンタビリティよりも承認手続きを優先するようなプロセスを排除しています。承認が必須でない限り、これらのツールとチェックはキンドリルのワークプレースシステムから恒久的に除外され、お客様と最も緊密な担当者が意思決定の権限をもつようになっています。

社内で支持者を任命する

企業カルチャーを確立する際には特に、熱心な従業員がベストな支持者となります。社内で支持者を集めることが、ワークプレースモダナイゼーションを促進するにあたり、どれだけの力になるか想像できるでしょう。

私たちは熱意に満ちたカルチャーを活性化し、キンドリルウェイを実現するため、カルチャー・アンバサダー・ネットワークを設立しました。ボランティアでの支持者グループは現在世界で700人を超え、エグゼクティブスポンサー、コアアンバサダー、インフルエンサーという3つの役割で組織化されています。

  • エグゼクティブスポンサー:キンドリルウェイの活動計画を自ら実行し、各国へリーダーシップとサポートを提供
  • コアアンバサダー:カルチャーの変化に向けた実行計画を共創および推進し、お客様に結びつく変化を実現
  • インフルエンサー:カルチャーの実現を現場レベルで支援し、改善すべき領域を特定

カルチャーアンバサダーは、キンドリルウェイの推進およびローカルでの戦略やカルチャーに関連する活動に週に数時間ほど費やします。
その活動を通じて、キンドリルのカルチャーの活性化と変革を前進させる行動を推進し続けています。

適応型の企業カルチャーの確立に、多大な時間と資本の投資が必要であることに疑いの余地はありません。
しかし、包括的なワークプレースの要素がデジタル変革の戦略に組み込まれれば、従業員とお客様はメリットを享受できます。

企業カルチャーを確立する際には特に、熱心な従業員がベストな支持者となります。

ポイント3. 変革をもたらすテクノロジー

テクノロジーはデジタル変革において主要な要素のように見えるかもしれませんが、キンドリルは人をワークプレースモダナイゼーションの中心に位置づけています。最良の従業員体験を生み出すデジタルファースト環境の構築には、次のことを行う必要があります。

技術的な計画を作成する

ハイブリッドワークプレース戦略を策定する際、場所の多様性、ユーザーの趣向、そして企業における機能がどのように従業員体験に影響を与え、それに伴って顧客満足度や事業パフォーマンスに影響を及ぼすかを考慮する必要があります。従業員がどこで働く選択をしたかに関係なく、テクノロジーとサポートを提供する方法については特に注意を払うことが重要です。

キンドリルでは、最新のワークプレースの構築と維持に不可欠であると考えられる3つの要素に対応する、技術的な計画を策定しました。

  1. サポートサービス:サービスエンジニアリングと自動化の組み合わせることで、リモートで使用できる多くのセルフヘルプ機能と、オフィス内でのトラブルシューティングとして「Tech Bar」サービスを提供することで、サポートシステムとプログラムを合理化しています。先回りした問題解決、コールセンターでのコール量の削減、従業員が自分の都合に合わせてヘルプを探せるようにするといった対応を、これらのテクノロジーによって促進しています。
  2. デバイス管理:デバイス管理を強化するために、私たちはエバーグリーンモデルへの移行を進めています。この移行では、小規模でこまめな進行形でのアップデートの実行を重視し、デバイスとOSをアジャイルに管理するアプローチを採用しています。このアプローチによって、問題解決を迅速化し、機器のダウンタイムを最小限に抑え、さらにネットワークセキュリティを向上する支援をしています。
  3. 施設のモダナイゼーション:まだ設計の初期段階にありますが、キンドリルでは、最終的に各オフィスビルにホットデスク、コラボレーションスペース、ウォールーム、その他のITおよびセキュリティ設備を導入し、社員とお客様にとって一貫した、直感的でクリエイティブな環境を構築する予定です。
堅牢なアプリケーションを選択する

従業員に提供するデジタルツールは、個人のパフォーマンスに大きく影響し、会社の成功に直接的な影響を与える可能性があります。そのため適切なテクノロジーパートナーの選択は、これまでで最も重要なビジネス上の決定のひとつとなります。

私たちは、社員がオフィス、現場、その他の場所のどこにいても、シームレスに業務ができ、お客様にサービスを提供できる堅牢なコラボレーションツールを提供したいと考えていました。キンドリルの環境において、選択したデバイスやアプリケーションが以下の要件で使いやすいものであることが不可欠でした。

  • 会議やブレーンストーミングのセッションを実施できること
  • チームや他の人たちとアイデアの共有やフィードバックのやり取りができること
  • 世界中の同僚、パートナー、お客様とやり取りができること

最終的にMicrosoft365プラットフォームとその完全に統合されたアプリケーション群を選択し、共同作業であろうと非同期作業であろうと、私たちのグローバルな社員のコラボレーションとアイデア出しに最も有効だと判断しました。私たちは新たなプラットフォームへの移行を2022年に実行し、今後も会社の成長に合わせてMicrosoft Azure上でITフレームワークをアップデートし、新たなデジタル機能を構築していく予定です。

企業全体をセキュアにする

従来のサイバーセキュリティプログラムでは、複数の種類のサイバー攻撃に対する防御として、さまざまなデジタルツールを採用していました。このような断片的で事後対応的なアプローチでは、将来の脅威を予測する機能が制限されるだけでなく、ソーシャルエンジニアリングや社内からの関連した脅威に対して脆弱なままになってしまいます。

アナリストベースの新たなセキュリティ手法は、単一のサイバーイベントに対応するのではなく、サイバー攻撃それぞれに対処するために、より広範なリスク管理アプローチが組み込まれています。
サイバー攻撃者の能力、目的、制限を分析することで、意思決定の指針となる脅威プロファイルを作成し、重要な資産に対する攻撃を予防する戦略をカスタマイズできます。

キンドリルではこの考え方を採用し、脆弱性に焦点を当てた防御戦略からインテリジェンス主導のフレームワークへと移行しています。
これにより、以下のことが可能となっています。

  • 悪用される前に弱点がある領域を予測
  • データを活用して悪意を持つ者の戦略やテクニックを理解
  • サイバーセキュリティの特定の制限に対処するための投資を優先
  • 攻撃対象となる領域を減らし、事業全体へのリスクを軽減

レジリエントなネットワークを構築し、絶え間なく続くサイバー脅威に対処するというキンドリルのミッションにとって、従来のサイバーセキュリティ態勢からの転換は不可欠です。
近いうちに、キンドリルの社員はこのプロセスの中でより大きな役割を果たすようになり、社内の効率を高めながら、攻撃を事前に予測して管理し、阻止するようになるでしょう。

高度な対応が可能なサポートシステムや強力なサイバーセキュリティ計画を適切なテクノロジーと組み合わせることで、お客様の従業員はどこにいても、より効率的かつ効果的に仕事ができるようになることは明らかです。

立ち止まることのない前進

ワークプレースモダナイゼーションは旅のようであり、終わりはありません。進んで着手したか、取り組まざるをえなかったかにかかわらず、ハイブリッドワークへのアプローチはほぼ確実に進化していきます。実際、進化させていく必要があります。

キンドリルでは、会社の成熟度に合わせて繰り返し、これまでの過程で学んだ教訓をお客様のために役立てています。現在進行中のワークプレース変革に向けたキンドリルの計画は、次のとおりです。

  • ワークプレースカルチャーの再定義:私たちはThe Kyndryl Way (キンドリルウェイ) によってカルチャーの基盤を確立しましたが、この価値観をいつ、どこで、どのように業務に取り入れるかの定義と再定義を続けていきます。あらゆるワークプレースに関する決定や立ち上げるプロジェクトはすべて、一貫性をもち、すべての人にとって公平で、最新かつ包括的な従業員体験であり、それに貢献するものでなければなりません。
  • 組織の多様性のサポート:キンドリルは60カ国以上で社員を有しているため、さまざまな考え方や働き方に対応できるよう、システム、プロセス、ポリシーを継続的にアップデートしていきます。多様性の拡大およびそれに伴うスキルや見解の集積によって、グローバルな事業展開の拡大における新たな課題や機会への対応を可能にします。
  • 集団的な説明責任の促進:キンドリルのワークプレース変革の長期的な持続可能性は、最初の2つの必須事項をどこまで遵守できるかに左右されます。 導入するテクノロジーと模範とする行動によって、すべての従業員が成長の共有というビジョンに責任を持ちながら、目的と緊急性をもち、業務に必要なツールを手に入れることができます。

最終的には最新かつ包括的なワークプレースの要素が、キンドリルの従業員体験の同義語となり、社員を惹きつけ、お客様により良いサービスを提供するための恒久的な道標となることを目標としています。

多くの企業がビジネスを展開する中で、ハイブリッドワークやリモートワークが中心的な方法になりつつあるとしても、現代のようなワークプレースが実現可能となるのは、世界中の企業が再構築を進める中でより大きな副産物のひとつに過ぎません。

未来を見据えた企業は、より包括性、公平性、持続可能性を高める必要性を認識し、時間と資本資源を投入して、これらの要素を企業活動すべてに織り込んでいます。
デジタルモダナイゼーションが、この変革を伝達する手段となります。

従業員と雇用主はいずれも、このプロセスにおける自らの役割を今後も再定義し続け、ハイブリッドワークおよびリモートワークへの変革による興奮が冷めても、その波及効果が長く感じられるようビジネスとカルチャーの変革を先導していくことでしょう。

Auriol Stevensは、キンドリルのワークプレース体験担当バイスプレジデントです。
Dennis Perpetuaは、キンドリルのDistinguished Engineer兼デジタルワークプレースサービス担当CTO (最高技術責任者) です。